2024-07-30 管理監督責任者と36協定
管理監督者とは
労働基準法上の管理監督者とは、会社内で重要な地位や権限を有しており、経営者と一体的な立場にある労働者をいいます。このような立場にある人は、自らの裁量で業務量が調整でき、十分な待遇を受けているのが一般的です。
管理職に36協定は適用されない? 管理職の定義や残業代未払いが違法になるケース
労働基準法上の管理監督者というためには、以下の要件を満たす必要がある。
- 重要な職務内容を有していること
- 重要な責任と権限を有していること
- 労働時間などの規制になじまない勤務実態であること
- 地位にふさわしい待遇がなされていること
こうした要件を付与されている管理監督者であれば、労働時間や休日に関する規定が適用外となっても、特段不利益を受けないと考えられ、一般の労働者とは異なる特別な扱いが認められています。
36協定とは
企業と労働者との間で締結する「時間外労働・休日労働に関する協定」をいいます。労働基準法36条を根拠とする労使協定であることから「36(サブロク)協定」と呼ばれています。
管理監督者は36協定が適用される?
労働基準法上の管理監督者に該当する場合には、36協定は適用されません。
管理監督者には、労働時間、休日に関する労働基準法上の規定が適用されなくなりますので、時間外労働をしても残業代は支払われず、休日出勤という概念もありませんので当然休日手当の支払いもありません。
裁量労働制との関係
裁量労働制との関係はどうなのか。
管理職裁量労働制|人事のQ&A『日本の人事部』より引用する。
裁量労働制の対象業務(職種)は、全ての業務ではなく、法的に限定されています。依って、管理職=裁量労働制ということではなく、「管理職裁量労働制」なるものは、法律上、あり得ません(労基法第38条の3及び第38条の4)。
管理職の時間外割増・休日労働の支払がないのは、管理監督者であるが故であり、裁量労働制だからという理由ではありません。
管理職に対したまたま何らかの裁量労働制(専門業務型または企画業務型)を採用しているか、あるいは労働基準法上の管理監督者として法定労働時間等の適用除外となる措置を独自に「裁量労働」と呼んでいるか(つまり、法律上の裁量労働制ではない)いずれかの可能性が高いものと思われます。
管理監督者 vs 裁量労働制
ChatGPTに表にまとめてもらった。
項目 | 管理監督者 | 裁量労働制 |
---|---|---|
定義 | 労働基準法第41条に基づく「管理監督者」 | 労働基準法第38条の3に基づく「専門業務型裁量労働制」および「企画業務型裁量労働制」 |
適用対象 | 企業の管理職や監督職に該当する者 | 専門業務や企画業務に従事する労働者 |
労働時間の扱い | 労働時間、休憩時間、休日に関する規定の適用が除外される | 労働時間を具体的に定めず、労働時間の算定を「みなし労働時間制」で行う |
労働時間の規制 | 労働基準法の労働時間規制の対象外(深夜労働を除く) | みなし労働時間を超える労働時間についても、時間外労働として扱われる |
給与・手当 | 管理職手当や役職手当が支給されることが一般的 | 裁量労働手当が支給されることが一般的 |
休憩・休日 | 法定の休憩時間・休日の規定の適用除外 | 法定の休憩時間・休日の規定は適用される |
対象となる業務 | 経営に関する重要な事項の決定、業務の管理監督 | 高度な専門性が求められる業務(例:弁護士、研究者)、企画・立案業務(例:マーケティング戦略の策定) |
手続き・届け出 | 企業内での任命・承認が必要 | 労使協定の締結と届出が必要(労働基準監督署に届け出る必要あり) |
労働基準監督署の監督 | 一定の条件を満たす必要があるものの、労働基準監督署の監督対象外となることが多い | 労働基準監督署の監督対象 |
主な法的根拠 | 労働基準法第41条 | 労働基準法第38条の3 |
事例 | 部長、課長、店長など | ITエンジニア、研究開発者、コンサルタントなど |